諜報機関においてもOSINT調査は重要な情報収集手段の1つとなっています。諜報機関がOSINTを活用することにより、公開された情報から状況を把握し、優先順位をつけて機密情報を収集することができます。
諜報機関がOSINTを行う際には、一般的なOSINTの手法に加えて、以下のような特別な手法を使用することがあります。
- ソーシャルエンジニアリング
- オープンソース情報の分析
- データマイニング
- ダークウェブの分析
諜報機関は、高度な技術や専門知識を持った調査員（エージェント）を配置して、OSINTを実施します。
また、その他の情報とオープンソースの情報と組み合わせて、より正確な情報を収集することが求められます。
ソーシャルエンジニアリング
ソーシャルエンジニアリングとは、人々の行動パターンや心理的な特性を利用して、不正な行為を行うために人々を欺く技術のことを指します。
一般的に、ソーシャルエンジニアリングは【情報収集・詐欺・スパム・フィッシング攻撃】などの悪質な目的に使用されます。
例えば、電話で偽の職員やシステム管理者を装い、パスワードやシステムアクセスの情報を聞き出したり、偽のメールやSMSを送信し、リンクをクリックさせてマルウェアをダウンロードさせたり、偽のログインページを用意してパスワードなどの情報を盗むなどが挙げられます。
ソーシャルエンジニアリングの手法は多岐にわたり、特定の情報を収集するためには、対象の人々の社会的環境、文化的背景、職業や年齢層などに応じて、手段を選択する必要があります。
また、ソーシャルエンジニアリングは、情報セキュリティやプライバシー保護の面でも問題があり、注意が必要です。
オープンソース情報の分析（OSINTの基本）
オープンソース情報の分析とは、公開されたオープンソースの情報（インターネット上の公開情報、ソーシャルメディア、ニュース記事、ブログ、フォーラムなど）を収集し、分析することで、特定の情報や傾向、パターンなどを把握することを指します。
オープンソース情報の分析は、情報収集、データ処理、データマイニング、情報評価、情報解釈、報告書作成などのプロセスを含みます。
オープンソース情報は、その量や種類が多岐にわたり、適切な情報の把握と適切な利用が必要とされています。
オープンソース情報の分析は、政府機関、企業、非営利団体、研究者などが広く利用しており、様々な目的に活用されています。
例えば、諜報機関は、情報収集や敵勢力の監視に利用し、企業は市場調査や競合情報の収集に利用しています。また、研究者は、社会現象の研究や調査に利用しています。
オープンソース情報の分析は、情報の正確性、信頼性、プライバシー保護などの問題に直面することがあります。そのため、適切な分析方法や適切な情報の収集方法を確立することが重要です。
データマイニング
データマイニングとは、大量のデータから有用な情報を抽出することを目的としたデータ解析技術のことです。
主に、統計学や機械学習、人工知能などの技術を利用して、データ内部に存在する関係性やパターンを発見し、知見を得ることができます。
データマイニングは、ビジネス分野やマーケティング、医療分野、金融分野、科学研究などの様々な分野で活用されています。
例えば、ビジネス分野では、顧客の嗜好性や傾向を分析して、ターゲットとなる顧客を把握し、商品の開発や販売促進に活用されます。
また、医療分野では、病気の原因や治療法を発見するために利用されています。
データマイニングの手法には、クラスタリング、分類、回帰、相関ルールマイニングなどがあります。
これらの手法を用いて、データの解析や予測を行います。
また、データマイニングでは、データの前処理や品質管理が重要であり、分析に適した形式にデータを整形することが求められます。
データマイニングは、大量のデータを効率的に解析することができるため、ビッグデータ解析にも利用されていますが、プライバシー保護や倫理的な問題なども含め、注意が必要な分野でもあります。
ダークウェブの調査・分析
ダークウェブの分析とは、ダークネットと呼ばれるオープンでない匿名のネットワーク内で、様々な犯罪や不正行為が行われているかどうかを調査することです。
一般的なウェブとは異なり、ダークウェブは匿名性が高く、検索エンジンによるインデックス化が制限されているため、情報収集が困難な場合があります。
ダークウェブの分析には、オープンソース情報の分析やスクレイピング、人工知能などの技術が利用されます。
特に、機械学習技術を用いた不正行為の検知や、ダークウェブ内でのトレンド分析などが行われています。
ダークウェブの分析は、法執行機関や企業、セキュリティ企業などが利用しています。
例えば、法執行機関は、違法な商品の売買や犯罪の予告、テロリストグループの情報などを収集するために利用されます。
企業は、自社製品やサービスに関する情報を調査するために利用されます。また、セキュリティ企業は、脅威情報の収集や侵入試行の検知などに利用されます。
ダークウェブの分析は、犯罪や不正行為の予防や抑止に役立ちますが、プライバシーや倫理的な問題も含め、慎重な取り扱いが求められる分野でもあります。
まとめ
諜報機関が行うOSINT調査は、企業などでも重視されているスキルです。
データマイニングやサイバーセキュリティと技術は、今後さらに注目される事が予想されます。
このような技術は情報を扱うだけでなく、自身を守る技術としても活用できるため学ぶメリットは多いでしょう。
OSINT調査の基本的な進め方はこちらを参考にしてみてください。
