人生は選択の連続で成り立っている。
私たちの人生は、小さな選択の積み重ねで出来ています。だからこそ選択の精度を高める必要がある。日常生活において、あなたの選択がより良いモノになることを願って。
人生は選択の連続である
その数なんと【35,000回】以上。
これはケンブリッジ大学のバーバラ・サハキアン教授の研究で証明されています。
選択には色々あって
- 喋る言葉
- 食べるモノ
- 身体の行動
全ては自分の選択です。しかし、選択は常に意識した状態で行われているわけではない。例えば、私達が1日に使用する単語の数は、無意識の中で約16,000語の中から選択して使われるし、(※アリゾナ大学とテキサス大学の合同研究)食べるモノや場所を決めるだけで2267回の決断をしている。(※コーネル大学の調査)
この小さな選択の連続で、私たちの人生は成り立っています。しかも私達のような庶民には、選択ミスが許されない。今の社会は冷たいから。一つの選択ミスが、後になって大きなトラブルに繋がるのです。
判断と決断と選択
判断と決断と選択は違います。こんな細かい事は、どうでもいいのかもしれない。それでも思考整理のために一度だけ触れさせてください。出来るだけわかりやすく説明できればと思います。
まずgoo辞書には、
- 決断:意志をはっきりと決定すること。
- 判断:物事の真偽・善悪などを見極め、それについて自分の考えを定めること
- 選択:多くのものの中から、よいもの、目的にかなうものなどを選ぶこと。
と書かれています。これは、
- 決断=意思
- 判断=思考
- 選択=行動
わかりやすい例として、ある文章を紹介します。
『朝起きて曇り空をみれば、天気予報の結果とあわせて、雨が降りそうかどうか考え(判断)、傘を持って行くか否か(選択)を決めている。』
「すぐれた意思決定」(印南一路)
この文章に決断を加えると、「雨が降りそうかどうか考え(判断)、傘を持っていくか否か(選択)し、傘を持っていく事にした。(決断)」になります。
他にも選択の概念として、アリストテレスは倫理的な視点からのアドバイスを提供してくれています。
『選択するのはそのようなもの〔善、または、悪〕のうちのどれかを「取るか、避けるか」についてであるが、判断するのは、そのようなものが「何であるのか」「誰のために役に立つのか」「どのようにして役に立つのか」についてなのである。』(アリストテレス)
二コマコス倫理学
つまり判断は思考で、選択は行動ということ。
言い方を変えれば、「行動」するための「選択」でもあります。
選択にある2つの問題点
バーバラ・サハキアン教授の研究では、「言語」「食事」「交通」で20,000回、残りは身体的動作で35,000回の決断をしているという結果が出ています。もちろん個人差はありますが、人間は圧倒的な回数の思考と、圧倒的な決断をし、選択の連続という人生を生きています。
そして選択には2つの問題があるのです。
- 選択には無意識が使われていること
- 決断は脳を消耗させること
つまり、決断対象に関する知識が不足していた場合は無意識で判断し、決断するたびに決断する能力は徐々に低下することになります。このせいで、私たちは日ごろから詐欺のような消費をさせられたり、トラブルの傷口を広げてしまっている。選択ミスはトラブルを大きくしてしまうのです。
選択をサポートするフレームワーク
脳の消耗を軽減するための方法の一つに「クネビンフレームワーク」という考え方があります。この考えが、あなたの決断をサポートします。まずは、自分の状況を以下の4つに当てはめてみましょう。
- 単純 = simple(やるべきことがわかっているけど決断できない)
- 面倒 = complicated(どの選択肢がいちばんいいかを決断できない)
- 複雑 = complex(予測できないことだから決断できない)
- 混沌 = chaotic(答えがないから決断できない)
この分類があなたの決断の精度を向上させます。
脳の疲労を減少させる方法
この分類が思考を客観的に見えるようにし、あなたの選択をサポートします。一つずつの分類を以下に紹介しておきます。
①単純 = simple
自分の選択が単純明確な状態。
やりたいことや、しなければならないことが明確な状態は、単純 = simpleに分類する。
【例】
- 仕事の時は何時に起きるか
- 朝起きたらシャワーを浴びる
- 通勤経路はどうするか
これは、自分にとって習慣化されているレベルの決断事項です。この分類に入れば、決断に使用される脳の消耗を防ぐことができます。
②面倒 = complicated
日常的な問題を選択する面倒な状態。これが日々の決断を一番消耗させます。
【例】
- 晩御飯は何を食べるか
- どんな服を着ようか
- 遊びにいこうか
このような小さな決断も、蓄積されると大きな負荷になります。遭遇すると想定されるような出来事にルールを設けることは効果的です。
➂複雑 = complex
現状の判断材料で判断できない複雑な状態。情報(前提)が乱れていて判断しづらいケースです。
【例】
- 交際相手と結婚するべきか
- 転職するべきか
- 投資を始めるべきか
何が正解か判断しづらい。
特に人生を左右するような事柄では、悩んでしまうのは必然です。
④混沌 = chaotic
複雑な状態が入り乱れて混沌とした状態。この混沌状態が、4つの中で一番厳しい状態になります。
【例】
- 起業したいけど結婚もしたい
- 子育てはあっているのか
- 自分の人生はこれで良いのか
正解なんてないかも知れない問題。この状態は精神的にも不安定になる可能性もあります。このフレームワークは、④混沌⇒➂複雑⇒②面倒⇒①単純にするためのモノ。状態を少しずつ軽くするためのフレームワークです。
あなたの選択を豊かにする物語
彼は選択の力を大切にしていました。養子として育った彼は、機械工の父からの影響でモノ作りに興味を持つ。その興味は電子工学にも伸びていき、幼くして才能は目覚めつつありました。しかし彼は不器用な子供でした。
小学生の頃はヤンチャながらも、飛び級を経験するなど、それなりに順調でしたが中学に上がると、いじめられて家族ごと引っ越すことになります。そこでウォズニアックと出会うのですが。。。そして大学に進学した彼は迷っていました。
「養子として育った自分は生みの親を知らない。」
悩んだ末に彼は、インドを放浪し始めました。そこで東洋哲学である「禅」に興味を持つことになるのです。これが後世に残る製品を、洗練したデザインたらしめた哲学です。帰国後に彼は、ウォズニアックと「アップルコンピューター」を販売し、成功を収めました。
そんな彼のトレードマークは、黒いタートルネックにジーンズ、スニーカー。その理由は「日々の決断の回数を減らして本来やるべきことにベストな状態で臨むため」だそうです。
最も重要な決定とは、何をするかではなく何をしないかを決めることだ。(スティーブ・ジョブス)
より良い選択のために
- 選択は行動だ
- 脳を消耗させないために問題を単純化する
- 身の回りのモノを少なくする
- 自分の判断基準を作る
このアイデアを活用して、より良い選択を行い、あなたの人生がより良くなることを祈っています。