犯罪心理学は犯罪行為とその周辺にある様々な問題を心理学的に追求していく学問です。
犯罪者がどのような状況で犯罪行為を犯すのか。
どのような考えを持って行動に移すのか。
これらを知ることによって事前に危機を察知することも可能になるでしょう。
また犯罪心理学を知ることによって、OSINT調査のスキルアップにも繋がります。
「日常活動理論」と「合理的選択理論」
私たちは常に第三者の目を気にしながら生活をしています。
周りを気にするあまり精神を病んでしまったりすることもありますが、この独特の空気感は社会を正常に保つためには必要な要素のひとつです。
この第三者の目がなくなると治安が悪くなることは容易に想像できます。
犯罪学者のマーカス・フェルソンは、 犯罪を次のように定義しました。
犯罪=(犯罪者+対象-監視者)(場所+時間)
これは「日常活動理論」と呼ばれています。
つまり犯罪者・犯罪対象・監視者の三つの条件がそろった場合に犯罪が起こると言えます。
また狂気的な犯罪者を以外の人が犯罪を犯すケースでは、 犯罪者は犯罪を犯したことで得られる利益・報酬と、犯罪が失敗した時のリスクとを秤にかけて、 利益や報酬がリスクを上回った時に行動に移す傾向があります。
これを「合理的選択理論」と言います。
見て見ぬふりの傍観者
心理学の研究には人数が多くなるほど、傍観者が多くなる傾向になるという実験結果が出ています。
これは学校のいじめ問題などにも関連しており、「私が止めなくてもいい」「誰かが止めてくれるだろう」と言う「傍観者効果」が働いています。
確かに自分に害がなければ問題ごとに首を突っ込む人はあまりいません。
もちろん問題に巻き込まれて自分が損をすることもあるでしょう。
しかし勇気を振り絞って辛い思いをしている人に手を差し伸べてあげることが、本当に幸せな人生を送るための第一歩ではないでしょうか。
環境が悪ければ犯罪が増える
綺麗な街は犯罪が少なくなります。
これは数多くの研究結果から明らかなことです。
実際スラム街のような危険区域は、汚いところが多く、不穏な空気が溢れています。
「掃除をする人は心が綺麗」とよく言われますが、これは人間は身の回りに自身の心を映し出してしまうからです。
常に心が整理された状態でいる事が重要です。
弱者を狙ったマインドコントロール
心が弱っている時、精神的に不安定な状態にある時、マインドコントロールの魔の手が迫ってきます。
マインドコントロールには完成するまでのステップがあります。
- 情報を隠蔽・嘘をつく
- 欲求の扇動と恐怖喚起
- 思想の超越性
- リアリティの操作
- 情報行動思考感情のコントロール
- 外部からの影響を受けない環境を作る
これは悪質な宗教などによく見られる手法です。
こうした状態にならないためには、日頃から自分の心のケアに努める必要があります。
立場を利用した犯罪
学校の先生に高圧的な態度で迫られたことがある人は多くいると思います。
昔は肉体的な暴力も普通に行われていましたが、その時代の先生方は生徒を育てたいと強い思いを以て職務を全うしていたように感じます。
それが年月と共に、自身の機嫌や、好き嫌いなどの感情で生徒に怒るだけの存在になり果てました。
結果としてモンスターペアレントに噛みつかれ、生徒が教師を監視するような学校になってしまったのは、因果応報というものでしょう。
学校がこのような状況であることには問題がありますが、近年パワハラが問題視され始めたのは社会的に見ても良い傾向だと言えます。
しかしパワハラは本人が自覚していないケースがほとんどで、知らず知らずのうちに相手を傷つけているのです。
パワハラのような立場を利用した犯罪は一般的な企業だけでなく、警察官などの取り調べなどにも見受けられます。
一時期 YouTubeなどで、明らかに立場を利用した高圧的な取り調べが行われている動画が拡散されていました。
このような行為が犯罪を犯していない人間を犯罪者に仕立て上げることになっていることに多くの人が気づいたことでしょう。
取り調べで禁止されてる行為として
- 容疑者の身体に触れる
- 有形力の実行
- 一定の動作姿勢を要求する
- 尊厳を傷つける言葉を使う
などが挙げられますが、もう少し厳しく規制するべきです。
海外では取り調べに弁護士が同行出来ますが、日本では認められていません。
何かやましいことがあるのでしょうか。
信頼され尊敬されるような職業であるはずの警察官が、犯罪とも呼べるような行いをすることは許される事ではありません。
強い想いから来るストーカー行為
女性の立場から言えばストーカー行為は非常に恐ろしいです。
一度ストーカー行為をされた女性は、正常な日常の生活を送ることが困難になります。
ストーカーをする人間の気持ちはわかりませんが、「ストーカーの加害者の四人に一人がストーカー行為をしていると思っていない」というデータが警察庁のアンケート調査から結果が出ています。
自覚がない行動とは非常に恐ろしく感じます。
そんなストーカーには次のような心理状態が見られます。
- 自分を特別だと認めて欲しい
- 無視されたと感じやすい
- ストレスを感じると相手をすぐに攻撃する
このような強い感情からくるストーカー行為は、ストーカーの加害者自身も制御できないほどのエネルギーがあります。
ストーカー行為自体があまり警察に取り合ってもらえないという印象がありますが、ストーカー規制法が少し変更されたことを覚えておきましょう。
- 警告なしでも、ストーカーの行為者に行動制限を課す禁止命令が出せる
- ストーカー行為の罰則が2倍
- 被害者が告訴しなくても起訴できる
- SNS やブログにメッセージなどを送る行為も規制対象になる
一人でストーカーに立ち向かうのは危険であり、冷静な判断が下せなくなる可能性もあります。
できるだけ早い段階で多くの人に相談し、ストーカー加害者からできる限りの距離を取りましょう。
OSINT調査に役立てよう!
犯罪者になった時点で社会からは拒絶されてしまいます。社会はそんなにあまくないのです。
一時の感情、たった一度の行動で、一生を棒に振ることになる事もあります。
最近もSNSでバズる為に、世間を騒がせた若い人がいましたが、残念なことです。
日本では「人のふり見て我がふり直せ」と言われますが、「なぜそのような行為をしたのだろう」「自分がその場にいたらどうしただろうか」と自分を省みることも大切です。
参考文献
「悪いヤツらは何を考えているのか ゼロからわかる犯罪心理学入門」 著 桐生正幸