OSINTで最も重要なことの一つとして事実と事実以外を見極める事が挙げられます。
そして基本的に情報の構成要素は
- 事実
- 意図・意志
- 意見・解釈
で構成されており、その情報の性質を認識しておくことで、ある程度の情報は見分けられます。
このように情報には精度が求められており、それを体系化した思考法がインテリジェンスサイクルです。
インテリジェンスサイクルはOSINT調査にも使われる思考法です。
海外では選挙をコントロールするフェイクニュースや、環境問題への活動を阻む陰謀論などが横行しています。
日本でも、今後は情報戦が激しくなることが予想されます。
YOUTUBEでは目立った行動・発言で注目を集め、選挙に利用する動きも活発になってきました。
私たちは情報を操作しようとする側の、網の目を上手にくぐり抜けて行くしかありません。
つまり正しい情報を掴み、自分の頭で分析する、インテリジェンスサイクルが必要になります。
1)「誰かの評価」の危険性
SNSやECサイトなどの普及により、今まで以上に「誰かの評価」が信用として使われる事が多くなりました。
しかし本当にその評価は正しいのでしょうか。
SNSのアカウントなどは端末を分けてしまえば、1人で複数の人物として活動することが可能です。
実際に海外ではプロパガンダに利用するため、組織としてアカウントを複数使用し、ターゲットを攻撃する活動があります。
2)情報は自分で掴むもの
日本人の多くは、情報に対して常に受け身の状態になっています。
これは日本の教育にも問題はありますが、その選択をしている自分が一番の問題です。
情報は私たちの生活を豊かにしてくれるモノであり、私たちを偏った思考に仕向ける道具でもあります。
そのような権謀・策略に惑わされないためにもインテリジェンスサイクルを学びましょう。
インテリジェンスサイクル
1)インテリジェンスサイクルとは
インテリジェンスサイクルとは正しい情報を選択するとともに、その情報が信用できるのかを整理し、その情報の精度を練り上げていくことを言います。
インテリジェンスサイクルとは、情報収集から分析、評価、配信、フィードバックまでの一連の過程を指します。主に軍事や諜報活動などの分野で使われている概念ですが、ビジネスや政治などの分野でも利用されることがあります。
一般的に、インテリジェンスサイクルには以下のフェーズが含まれます。
- 計画・支持
- 収集
- 情報処理・分析
- 作成・配布
インテリジェンスサイクルは、情報収集と分析のプロセスを明確にし、効果的かつ効率的な情報収集と分析を行うための手順を提供します。これにより、重要な情報を素早く収集し、適切な人々に共有することができます。
この4つの工程を回し続けることで、情報の確度を上昇させます。
※情報の確度=情報の信頼性・信憑性を評価して数値化したもので、一般的には「妥当性」 「一貫性」「具体性」「関連性」という四つの尺度で評価します。
計画・支持
まずは何を調べるのかを自分の中で明確にしておきます。
例えば情報を調べる目的としては
- 最新の投稿を把握するための情報収集
- 何らかの意思決定を行うための情報収集
- 新しいアイデア・ コンセプトを創出するための情報収集
- 研究論文を書くための情報収集
- 知識を増やす・生活を豊かにするための情報収集
などが挙げられます。
そして目的を達成する際には必ず計画が必要です。
計画とは、
- なぜ調べるのか(目的)
- 何を調べるのか
- 誰が調べるのか。 誰に報告するのか
- いつ調べるのか。 いつまでに調べるのか
- どこで調べるのか
- どの程度調べるのか
- いくら情報収集に使えるのか
を決定しますが、中でも一番重要な点は「どの程度」情報を集めるかです。
この「どの程度」を決めておかないと、必要以上に情報を集めすぎて意思決定できない状態になってしまう危険性があります。
MECE(漏れなく、ダブりなく)を心掛けましょう。
再現率は 漏れ防止のため
この段階を誤ると、求めている答えも、おのずと見当違いの情報となるため十分に時間をかける必要があります。
ポイント
- 自分の求めている答えを明確にする
- 求める情報に自分の偏った思考を加えないか注意する
情報収集
計画(求める情報)が決まれば情報収集を行っていきます。
情報感度
・好奇心・ 探究心の強さ
・調べたい テーマの広さ・ 多様性
・調べたい テーマに対する知識・ 経験
オープンソース情報、人的情報、技術情報など、情報を集める方法は数多くありますが、最も有力とされるのは一次情報です。
一次情報とは、専門家のインタビューや当事者の発言のように、その情報が私たちに伝わるまでに改変(脚色・削ぎ落し)されていない情報の事を指します。
この一次情報を個人で集めるには、時間的にも厳しいものがあるため二次情報・三次情報から情報を選択していく必要があります。
※情報収集の参考
内閣府経済産業省が委託したレポート
https://www.meti.go.jp/topic/data/e90622aj.html
【論文サイト】
日本の研究.com
GiNii
調べる情報にもよりますが、WEBで調査する際には上記のように信頼性の高いサイトを活用しましょう。
情報処理・分析
集めた情報を処理・分析していきます。
分析手法には、構造化分析、クラスタリング、プロファイリング、検知などがあります。
情報の処理は、情報の評価と置き換えることができます。
集めた情報を正確性や信頼性、重要性、利用可能性などを評価し、必要に応じて修正・精査を行います。
評価基準は数値化する・色わけするなどの方法に違いはありますが、その情報の確度を示す事ができれば大丈夫です。
以下のように集めた情報を重ねていきます(あくまで簡易的な例です)
他にも数値で表す場合の例としては、グーグルの検索結果を適合率・精度で表すと、
適合率・ 精度= 検索結果のうちの検索結果がヒットした件数5件/表示された検索結果10件=50%(精度)のように数値表現することもできます。
作成・配布
最後に報告書やプレゼン資料として、情報のまとめを行います。
ここで様々な方面からの意見(情報)が入ってくることになり、その意見をもとに再度インテリジェンスサイクルを実行していく事で、情報の精度が高まります。
4.まとめ
インテリジェンスサイクルは軍事や諜報機関で使用される思考法です。
しかし現代のような情報に溢れかえった社会では、間違った情報の選択は致命傷になります。
情報に振り回されないためにも、自分の意志で正しい情報を選択していく事が必要です。
また諜報機関の情報の精度の高さは周知のとおりですが、個人で可能な範囲から取り組みましょう。