批判的思考だけではなく、考える作業においてスキーマという概念は重要になります。
スキーマは、調査員の思考力を伸ばすためには、ぜひ覚えて置きたい考え方です。
ステレオタイプ思考の記事で少し説明しましたが、よりわかりやすく活用法などを解説していきます。
スキーマとはIT分野では「データベースの構造」と呼ばれますが、ここでは心理学の「スキーマ理論」に基づく、知識と知識が繋がった枠組みのスキーマについて解説します。
学習スキーマ
例えば本を読んだ時に、「この言葉は前にも見た事がある」と感じた事がある人は多いと思います。
これは関連スキーマの活性化と言われています。
何気なく見ただけの情報でも、関連する情報と統合することで知識構造は進化していき、ますます知識が豊かになり人間的にも成長していく事ができます。
学習時のスキーマ構造は以下の通りです。
学習からは少し外れますが、わかりやすいのは「体」というスキーマには「足」や「腕」「頭」などが入ってきます。
このようにスキーマを活用することで、私たちは記憶を引き出す(処理する)スピードを速めることができています。
偏見スキーマ
私たちは常に自分なりの考え(確証バイアス)をもって物事を判断しようとします。
しかし、その偏見を持ってしまう事で判断を誤ることが多いことに気付く人は少ないです。
これには認知的不協和が影響しています。認知的不協和は自分の判断や行動を正当化しようとする働きです。
それでは偏見をもってしまう時のスキーマについて見ていきましょう。
メタ認知とスキーマ
メタ認知はビジネス界で一時期流行った言葉ですが、興味のない人は知らないと思います。
メタ認知の「メタ」は「高次の~」という意味を含んでいるため、メタ認知は「認知している事を認知する」と言えます。
このメタ認知の活用としては、自分を客観的立場から評価できるところにあります。
スキーマとの違いとして、スキーマは「認知する時に活用する知識」と考えられます。
つまり、メタ認知は「認知した後に活用できる」スキーマは「認知する前に活用する」と分けることができます。
メタ認知もスキーマも認知心理学では重要な概念です。
スキーマを活用するにはトレーニングが必要ですが、メタ認知は習慣として取り入れやすいので、まずはメタ認知から活用していくのも良いかも知れません。
おまけ「スキーマ」と「スクリプト」
「スクリプト」とは台本を意味します。
その名の通り、一連の時系列をまとめたものです。
PCに詳しい人は、プログラミングで慣れ親しんでいるので、簡単に理解できる事でしょう。
では、スキーマとの関りはどうでしょうか?
例えばamazonでの購買活動を例とすると
「アプリを開く→商品をかごに入れる→注文する→最終確認を行う→決済する」がスクリプト、amazonで購入するスクリプトです。
「アプリを開く」「注文する」などは「購買活動のスキーマ」による行動となります。
これがスキーマとスクリプトの関係性です。
まとめ
スキーマは情報過多の現代において、非常に重要な概念です。
しかし、解説したような偏見を持ち合わせている場合には、悪い方向に作用します。
このような状態を避けるには、日ごろからメタ認知などを活用して、正常に判断できるスキーマを生成しておく必要があります。
また、スキーマの生成には自身の信念が大きく影響します。
強い信念を持ち、正しい選択が行えるように「自分は悪くなかったか」「なぜ相手は理解してくれないのか」と自身を省みることから始めていきましょう。